ハワイ在住の読者からお便りをいただきました。ある父親のエピソード
が英文で添付されていました。以下、要約です。
──ある夏の日、重い障害を負った息子が野球に興じる友だちを見て
「自分も野球をしてみたいが、入れてくれるだろうか?」と父に聞きま
した。半信半疑の父親が子供たちに頼むと、意外にも「ぼくらのチーム
は負けかかっているから良いですよ。この回に守備について、次の回に
打順が回るようにします」
という答えが返ってきました。息子はもがくようにグラウンドに駆け出
し、守備につきました。初めてグローブをはめた息子の輝く笑顔に、父
親の目が潤みました。
ところがその後、試合の勢いが変わり、九回裏に息子の打順が回ってく
るときは二死満塁。逆転のチャンスとなりました。野球のバットを握っ
たことも無い息子が打席に立てば、ゲームセットは間違いありません。
にもかかわらず、子供たちは約束を守りました。
ピッチャーはバッターボックスに入った息子を見て、相手チームが勝ち
を度外視し、何か大切なことをしようとしていることを察しました。そ
して、マウンドから打席に近づくと、そっとボールを放ったのです。
渾身(こんしん)の力を込めて息子が振ったバットは球をかすり、ピッ
チャーゴロ。投手がボールを拾って一塁に投げれば、それで終わりでし
た。ところが、彼が投げたボールは一塁手の頭のはるか上を通り過ぎま
した!
チームメイトが叫びます。 「二塁まで行け!走れ!走れ!」 息子は、
これまで見せたことも無い力を振り絞り、二塁を目指しました。一塁手
もピッチャーの意図を悟ったのでしょう。ボールは二塁手がジャンプし
ても届かない高みを飛んでいきました。
「三塁だ!走れ!走れ!」 観客も総立ちになって声援を送り始めまし
た。外野手のボールも三塁手のはるか頭上を通り過ぎました。
「ホームだ!ホームへ走れ!本塁打だ!」チームメイトたちも、観客も、
相手チームの選手たちも一緒になった大声援のなか、息子は逆転のホー
ムを踏みました。この日、息子はチームを勝利に導いたヒーローになっ
たのです。家に凱旋したヒーローを、妻は涙を浮かべながら抱きしめま
した。
息子は次の夏を見ることなく亡くなりました。しかし、人生にたった一
度、自分がヒーローになれたあの日のことを胸に逝ったのです。
ふだんは勝つことしか頭にない野球少年たちが、人間の絆とはどういう
ものかを見せた良い話だと思いました。家庭や学校や政府がなすべきこ
とをしていた時代、こういうことは現実にあったのでしょう。
誠申し訳ないことに 何方のブログであったか不明です。
不明ながら ありがたく拝借いたしました。
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